モデルとリアルの比較(東京)

(1/γ(感染者の平均感染性期間)= の場合)
初期条件
R0 = (基本再生産数) 参考値(SIR時):日:1.9、米中:4.0、伊:4.5
γ = (1/γ = days)
β =
Population =
Initial infected =
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計算結果
最終罹患率 = % (or 500日目の罹患率)
市中感染者ピーク : % ( 日目)
市中感染者ゼロ日 : 日目
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 実際のCOVID19の東京都のデータとモデルを比較してみました。 上の赤線、青線はそれぞれ都で発表された新規感染判明者数と累積感染者数です。 R0=1.9(ただしSIEモデルで1/γ=9日の場合、SEIRモデルの時はR0=2.9)とした時にうまくあうように見えます。 グラフ中の新規隔離、回復、死亡(計算値)とは下図の右側矢印にあるγI(t)のことです。 縦軸が普通の表示ではわかりませんが、 対数表示だと感染者ピークまで時間的に余裕がないことが分かります。

一日当たり矢印の人数だけ移動します。(SIRモデル)

 ここで注意しなければいけないのは、SIRモデルの計算ではS(未感染者)、I(市中感染者)、 R(市中から除かれた感染者、元感染者)を扱っていますが、 実際のデータと単純に比較することができないということです。 我々が知ることができるのは病院でPCR検査をして陽性と判定された人の数だけであって、 SIRのどれも正確に知ることはできないのです。

 PCR検査で陽性判定された中には症状が出て病院に行って検査を受けた、 あるいは無症状でも濃厚接触が疑われて検査をうけた人たちが含まれます。 感染して症状が出ても検査を受けていない、あるいは受けられなかった人は含まれません。 また無症状感染者でたとえ感染能力があってもPCR検査を受けない限り含まれません。 前でも述べたように市中感染者(I)のうち一日に隔離、回復、 死亡などして市中から除かれる (他者を感染させる恐れのない状態になる)率をγとすると 一日当たりγI(t)の方が”市中から除かれた感染者、 元感染者(R)”に移ることになりますが、 我々が得られるデータはこのうちPCR検査を受けた人だけなのです。

 実際のデータとして現れる感染者を仮に明感染者、 無症状感染者のようにデータとして現れてこない感染者を暗感染者とし、 全感染者数を1とした時にp:(1-p)の比で市中に(比を一定に保って)存在していると仮定します。 PCR検査を受け”隔離され他者を感染させる恐れのない状態”になる率を新たに γPCRとおけば、 明感染者pI(t)のうちpI(t)γPCR が日々隔離されることになります。 これは発表される新規(判明)感染者数に当たります。 一方、暗感染者が自然回復あるいは死亡することで市中感染者から元感染者に移行する率をγRとおけば 日々(1-p)I(t)γRが除かれることなります。 上のγとは
γ=pγPCR+(1-p)γR
の関係にあります。 PCR検査を受けるのはほとんどが発症中であり自然回復者よりはやく市中から除かれることから、 γPCR > γ > γRとなると考えられます。

 長々と説明してきましたが結局のところ、 実際に発表される新規感染判明者、累積感染者数と比較するべきは 計算結果をpγPCR / γ倍したそれぞれ pγPCRI(t)、 (pγPCR / γ)R(t) であるということです。 ただし問題があってγPCRγRが異なれば 実際は明感染者率pが時間とともに変化するはずです。 そうなるともはやSIRモデルでは対応できません。 またpやγPCRγR さらにγ自体まで正確にわからない状況で細かく設定しても意味がありません。 ここでは大幅に単純化させγPCR=γR=γ とおくことにします。 すると発表される新規感染判明者、累積感染者数と比較するべきはpγI(t)、 pR(t)となります。

 ダイヤモンドプリンセス号のデータによると無症状感染者は17.9%もいたといいます。 そこで仮に上のpを0.8とするとLog(0.8γI(t))=Log(γI(t))-0.1 となり対数表示では-0.1メモリだけ下に平行移動することになります。 線形表示では20%も値が小さくなるわけですが対数表示の場合はわずか縦軸のメモリの1/10ぶんそのままの形で移動するだけです。 このままだと市中明感染者数が0日目に1(比で0.00001%)にならないので実際のデータと合わすために左に平行移動させます。 結局ピークが低くなり日が早くなる以外、元の計算値とほぼ重なることになります。 感染初期(感染率数パーセントくらい)まではモデルはそのまま使えそうですが 注意が必要です。

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